私の部屋は、いつの間にか「ゴミ屋敷」と化していました。仕事のストレスと疲労で何も手につかなくなり、気がつけば床は見えず、物とゴミで埋め尽くされていました。何度も片付けようと試みましたが、その途方もない量に圧倒され、すぐに諦めてしまう日々。そんな私を救ってくれたのが、「分割片付け」という考え方でした。最初は、インターネットで見つけた「小さな一歩から」というアドバイスに半信半疑でしたが、藁にもすがる思いで実践してみることにしました。まず、私は部屋全体ではなく、「玄関」にターゲットを絞りました。散乱していた靴や郵便物、空き容器などを、まずは「捨てるもの」と「残すもの」に大まかに分け、明らかにゴミとわかるものだけをゴミ袋に入れていきました。たったそれだけの作業でしたが、玄関の床が少し見えた時、私は久しぶりに達成感を感じました。「これならできるかもしれない」という小さな希望が芽生えた瞬間でした。次に私は、「リビングのテーブルの上」だけを片付けることにしました。たまった書類やカップ、食べかすなどを、やはり大まかに分別し、ゴミ袋に入れました。そして、疲れたら無理せず休む。この「一日一区画」のルールを自分に課し、毎日少しずつですが確実に作業を進めていきました。物を捨てるか迷うものは、一時的に「保留箱」に入れ、後日冷静な気持ちで見直すようにしました。この保留箱は、私の決断疲れを防いでくれる大きな味方でした。数週間後、部屋のゴミの量は目に見えて減り、生活動線が確保できるようになりました。業者に依頼するほどの重症ではなかったこともあり、最終的には自力で部屋全体をきれいにすることができました。この経験を通じて、私は単に部屋を片付けただけでなく、自分自身の心の状態と向き合い、小さな成功体験を積み重ねることの重要性を学びました。ゴミ屋敷からの脱却は、急がず、焦らず、そして「分割」して進むことが、成功への確かな道だと、私は身をもって実感しました。