ゴミ屋敷問題は、その物件の「火災保険」に関しても、通常の住宅とは異なる「リスク」を潜ませています。万が一、ゴミ屋敷で火災が発生した場合、保険金が支払われない、あるいは減額される可能性があるため、その実態を理解しておくことが重要です。まず、最も懸念されるのは「告知義務違反」の可能性です。火災保険の契約時、保険会社は契約者に対し、物件の構造、使用状況、火災リスクに影響を与える可能性のある事柄などを告知するよう求めます。ゴミ屋敷状態は、明らかに火災リスクを高める要因であり、これを保険会社に告知しないまま契約した場合、告知義務違反と見なされる可能性があります。告知義務違反が認定されると、保険契約が解除されたり、火災が発生しても保険金が支払われなかったりするリスクがあります。次に、「重大な過失」と判断される可能性です。保険契約には、被保険者(契約者)の故意または重大な過失によって発生した損害については、保険金が支払われないという免責事項が定められていることが一般的です。ゴミ屋敷の状況は、タバコの不始末、電気コードのショート、コンロの消し忘れなど、火災の原因となる不注意が多発しやすい環境であり、これが「重大な過失」と判断される可能性があります。例えば、ゴミが通路を塞いで避難が困難な状況であったり、消火活動を著しく阻害する状態であったりした場合、重大な過失と認定されるリスクが高まります。また、保険会社は、保険契約締結後も、物件の状況が著しく変化し、火災リスクが著しく増大した場合は、契約内容の見直しや、保険料の増額、あるいは契約解除を求めることがあります。ゴミ屋敷化は、まさに火災リスクの著しい増大に該当するため、保険会社に通知せず放置していると、後々大きなトラブルとなる可能性があります。さらに、賃貸物件の場合、借り主がゴミ屋敷にしてしまった場合、貸し主が加入している火災保険が適用されるかどうかも問題となります。借り主の故意や過失による損害は、借り主自身の責任となるため、貸し主の保険では賄いきれない部分が生じることがあります。このように、ゴミ屋敷は火災保険に関しても、様々なリスクを潜ませており、万が一の事態に備えるためにも、保険契約の内容を再確認し、必要に応じて保険会社に相談することが不可欠となるのです。
火災保険ゴミ屋敷に潜むリスク