ゴミ屋敷の片付けを阻む最大の壁、それは体力的な限界よりもむしろ、一つ一つの物と向き合い「捨てる」か「残す」かを決断する精神的な疲労です。思い出の品、いつか使うかもしれない物、高価だった物。これらを前にすると手が止まり、やがては片付けそのものを諦めてしまう原因となります。しかし、この困難な決断のプロセスにも、心の負担を軽減し、後悔を防ぐための正しい順番が存在するのです。 片付けの初期段階では、判断に迷う物には一切触れないことが鉄則です。まずは誰が見ても明らかなゴミ、例えば食品の空き容器や古いチラシ、壊れた家電など、思考を介さずに捨てられるものだけを徹底的に処分します。この作業は、部屋を物理的に片付けるだけでなく、これから始まる本格的な分別作業に向けて、思考のエネルギーを温存するための重要な準備運動となります。 次に手をつけるべきは、捨てるものではなく「絶対に失いたくない大切なもの」です。通帳や印鑑、公的な書類、家族の写真アルバムなど、生活に不可欠なものや、かけがえのない思い出の品を、先に安全な場所へ避難させましょう。これにより、片付けの過程で誤って重要なものを捨ててしまうのではないかという不安から解放されます。守るべきものを先に確保することで、残りの物に対しては、より大胆かつ冷静に「捨てる」という判断を下せるようになるのです。 そして最後に、残された「判断に迷うもの」たちと向き合います。この段階では、判断対象の数が大幅に減っているため、一つ一つにじっくりと時間をかけることができます。この判断の順番を守ることで、思考の混乱を避け、一つ一つの決断を丁寧に行うことが可能になります。物理的な片付けの順番だけでなく、この精神的な決断の順番こそが、後悔のない片付けを成功させるための隠れた鍵なのです。